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会社役員の休業損害

会社役員の休業損害の計算

会社の代表取締役、取締役といった役員の方々の休業損害については
「会社役員の報酬については、労務提供の対価部分は休業損害として認められるが、利益相当の実質をもつ部分は消極的である」
とされます。

たとえば、会社の創業者である代表取締役は、自分の働きというよりも、自分で興した会社が多数の従業員らにより利益を上げていることからの「配当」という意味で多額の年収を得ている可能性があるので、そのような「配当」部分は除いて考えるということです。

例えばオーナー社長である被害者Aさんの年間の役員報酬が2000万円であったとしても、その半分程度がAさんの役員としての営業活動等に対応するもので、残りはオーナーとしての利益配当の性質を持つならば、年収1000万円を前提に休業損害を計算するということです。

このような「労務提供部分」の割合については、会社の規模や、役員報酬の金額、役員の実際に行っている業務内容等により左右されることになります。
たとえば、小規模の会社で、役員報酬は少なく、社長一人の営業活動でどうにか回っているような会社であれば、「労務提供部分」が大きいということになるでしょう。

減収が無い場合の休業損害

ところで、オーナー社長に代表される会社役員は、仮に事故に遭って営業活動に多大の支障が出ても、自分の役員報酬は減らしていない、ということが少なくありません。

このような場合、役員の方には減収が無いので「休業損害がない」という見方をされかねないのですが、実際には、役員としてなすべき業務に支障が生じているわけですから、そのことに対する賠償がなされないなどということは許されません。

このような場合、一つには、「会社が役員に通常どおりの報酬を払ったが、通常どおりの業務がなされず、会社が損害を負った」として、会社から相手方に対する請求をすることが考えられます。

他方、「こういう場合には、会社からいったん払ってもらったんだけれども、労働対価部分に関してはちゃんと会社の方に返す約束があるんですよ、という法律構成をとって役員個人の休業損害というふうな請求を立てたとしても、そのことで文句を言う、あるいは保険会社の方がそのことで争うということは基本的には無いだろうと思っておりますので、そういうご請求でよろしいのかなと考えております。」というような見解(※)もあります。

私個人としては、このような場合には、念のため会社と役員個人の双方から休業損害を請求しておき、最終的な和解や示談の段階では役員個人と相手方の問題として解決するのが良いのかな、と考えております。

請求の実務

交通事故に強い北九州市の弁護士

会社役員の休業損害については、加害者側保険会社の提示額と、裁判基準の正しい賠償額が大幅にかい離していることが多く、被害者本人が保険会社と交渉しても、正しい賠償額を獲得することは困難です。
その意味で、弁護士依頼をする意義が大きい争点であると言えます。

そもそも、上記2でご紹介したように、「事故後も役員の報酬が減額されていない」というケースが多く、そういう場合には、保険会社は「休業損害など存在しない」と主張して全く払ってこない場合が多いのです。

しかしながら、役員と言えども会社のために営業活動を行っていることが通常であり、そのような業務に多大の支障が出ているのに、休業損害を払わないなど、到底許すことはできません。

この点、当事務所では、上記2の後半でご紹介しているような、「会社役員個人に休業損害が発生しているという構成」にて訴訟を起こしているケースが複数ありますが、いずれも休業損害は認められております。

たとえば、
訴訟により賠償金を18倍に増額した事例
においては、被害者である会社役員の報酬が減額されていなかったので、加害者側保険会社は「休業損害ゼロ円」を主張していたのですが、裁判所の和解案では、

との心証が示され、そのような金額を前提とした和解となりました。

このように、会社役員の方でも、相応の休業損害を認定されることがありますので、事故で傷害を負われた会社役員の方は、是非、弁護士に相談してみてください。

※ 園高明「交通事故損害賠償請求事件についての基礎知識―被害者代理人の立場から―」(東京弁護士会弁護士研修センター編「平成17年度春季弁護士研修講座」(商事法務 平成18年)150頁)

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